中等部超能力戦争
藤野 千夜(著)
/impress QuickBooks
作品情報
進学校の女子中学校での2人の女の子の仲違いから・・・ささやかなある現象が所々でほんのりと発生・・・?すでに小学生のころには変な力があった小清水さんは周囲から少しゆがんだ目で見られていた。そして、いつしか小清水さんは中学生になると・・・浮いた存在になっていた。そんな小清水さんのしょぼい超能力をはるかだけは知っている。女子校を舞台に思春期を迎える少女たち。本音と建前、大人とは違う小さな社会のなかですれ違う気持ち。そして、はるかも目覚める。▼著者紹介藤野千夜1962年、福岡県生まれ。千葉大学教育学部卒業後、出版社に勤務。’95年「午後の時間割」で海燕新人文学賞を受賞してデビュー。日常を軽やかに描きながら、すべてをやさしく抱きとめるような空気感を持ち、’98年には『おしゃべり怪談』で野間文芸新人賞を、2000年には「夏の約束」で第122回芥川賞を受賞。【目次】第1章 中等部超能力戦争──小清水さんのおかしな力──第2章 春休みの乱第3章 さくらまつりの怪第4章 ガーリー先生第5章 大人の香り第6章 ひびわれ第7章 訣別第8章 退屈な場所第9章 小清水さんの逆襲第10章 超能力戦争ふたたび
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商品情報
- シリーズ
- 中等部超能力戦争
- 著者
- 藤野 千夜
- 出版社
- インプレス
- 掲載誌・レーベル
- impress QuickBooks
- 書籍発売日
- 2010.06.01
- Reader Store発売日
- 2020.03.16
- ファイルサイズ
- 0.9MB
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この作品のレビュー
平均 5.0 (3件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
戦争というよりはケンカや諍いという感じ。超能力を使った諍いというわけでもなくて、超能力があることによって生まれた諍いというか。
レビューの続きを読む
主人公ははるかとしーちゃんの2人の少女。物語ははるか視点で、はるかはまあ普通の女の子(中学生で合コンに行って彼氏作ったりしちゃうけど)。対してしーちゃんは周りから変な子として認識されていて、でもはるかはあまりそんな風には思わずにそれなりに仲良くしてる。そんな2人の間に起きた「戦争」。
読後は読み返したくなる。それぞれがどっちなのか、という点も確かめながら読みたいし、それ以上に、超能力というフィルターのせいで違う風に見えてしまってる話がたくさんあるような気がする。しーちゃん視点で見つめ直すと、どうなるんだろう。
この本とは、さわや書店フェザン店の企画「ヨマネホンティ」で出会った。本の表紙を隠してタイトルだけ見せて売るという企画なんだけど、それがなかったら目には留まらなかった本だと思う。投稿日:2019.03.31
タイトルのインパクトが強すぎてずっと気になっていたのだけど、なかなか再会できなかった一冊。しかしこれは素晴らしいタイトルネーミングだ。
「中等部の教室でサイキックな少女たちが壮絶なバトルを繰り広げる学…園ファンタジーノベル」的なものを想像させるタイトルだけれど、読んでみると戦争でもないし超能力もよくわかんないし、って言うか中等部ですらないじゃん、とツッコミを入れたくなってしまう。
しかし中盤あたりでこのタイトルの意味が明かされて、一気に話がひっくり返った。
成程、確かにこれは戦争だ。作者の企みにまんまと嵌められてしまった。
「できれば、どっちかにしてほしい。子供なんだか、大人なんだか。でもそれができないから、みんな困っているのだろう。」
「子供っぽいだけの人なのかもしれないとは思うけれど、でも子供のままでいられるわけがない。子供そのままで許されるわけがない。」
ところどころに、子供と大人の狭間に立つ少女のためらいとか戸惑いとか、そういうセンチメンタルなものを感じさせるフレーズが飛び出してきて切ない。
小清水さんはもう超能力が使えなくなってしまったのだろうか。昔は本当に使えたんだろうか。自分でも持て余してしまうようなこの奇妙な力を、いつかははるかも使えなくなってしまうのだろうか。
「超能力」というのはたぶん、この時期の少女たちすべてが持っていた、無闇に人を傷つけてしまったり惹きつけてしまったりするようなある種の不思議な力のことなのだろう。それを「超能力」として、寓話的に可視化している。これは少女たちの寓話としての、学園小説なのだ。
もっと読まれて評価されて然るべき小説だと思うんだけどなあ。
そしてリアルに映画化希望。
ちなみに、我々男子にその不思議な力があったのかどうかは本作品では言及されていない。残念ながら。続きを読む投稿日:2014.01.03
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