やさしすぎる哲学入門 ― 誰でもわかる! 知識ゼロで読める! 面白いところだけツマミ食い!! impress QuickBooks [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 哲学書では無いと言われたけど、哲学の考え方の面白いとこを見られて哲学への興味が湧いたし、この本を読んだということを周りに伝えたら面白い哲学書を教えてもらえた

  • 全然やさしすぎない。「やさしすぎる」という謳い文句の香に誘われた初学者を哲学の沼に突き落とすために書いているとしか思えない。ほとんど罠。しかし上質な。

  • 面白くて一気に読んでしまった…

    受験生のとき、センター試験で「倫理」を選択していたので、哲学に触れるのは初めてではない。
    しかもその時の先生はすごく説明がわかりやすくて、記憶に残りやすいよう色んなエピソードも混じえてくれた。
    哲学って面白いなぁって思ったし、つらい受験勉強の中、倫理の勉強だけはちょっとだけ癒しだったのを覚えている。

    でも残念なことに、大学生になって8割くらい忘れた。
    社会人7年目、それをずっと後悔している。
    (医療系の総合大学だったのだが、一般教養に哲学がなかったのは言い訳にならないだろう)

    記憶が新鮮なうちにもっと深めればよかったと思うし、哲学の考え方は社会生活を営む上で役立つものだと気づいたからだ。

    くだらないことで議論する時も、仕事で葛藤を抱えた時、どうすればいいか考える時も、大事なのは常識を疑ったり、物事の本質を見失わないようにすること。
    哲学を学ぶことで、その考察を深めていける。

    そんなふうにぼんやり考えていたときに出会ったのが本書。
    とにかくわかりやすい。
    具体例がたくさんあったのもイメージしやすいし、筆者の考えもチラチラと入っていたのが特に良かった。
    何かを学ぶ時って、こんな理論がありますってただ羅列するんじゃなくて、それに対して人が感情を持つから面白いんだと思う。
    そういう感情が、「そもそもどんな時代背景なんだっけ?」とか「なんでこの理論が人気だったの?」とか、たくさんの疑問を持たせてくれるから、自然ともっともっと知りたくなる。

    忘れそうな頃にまた復習がてら読み返したい。

  • 著者が無神論者なことと、ニーチェが好きなことはとても伝わってきた。
    哲学史を学ぶ入門書、哲学に興味を持った人が最初に読むには良書と言える。

  • サクッと読めるかと思いきや・・・読み進めるうちに、「やさしすぎる」ではなく中身のしっかりした作品でした。

  • キリスト教と共産主義が嫌いな著者による、古代ギリシャから現代に至るまでの哲学史が分かる本。
    ただし、入門書ではなく、かつ著者の主張がゴリゴリに激しい。


    古代は哲学の黄金期だった。
    相対主義のプロタゴラスから始まり、行き過ぎた相対主義による愚衆政治に問題提起をしたのがソクラテスだった。ただし、ソクラテスは絶対的真理を突きつけるに至らなかった。その系譜を経て、プラトンは真理追求のため、イデア論を唱える。アカデメイヤの生徒だったアリストテレスはそれを踏襲しながらも、否定し、万物を解き明かすこと、即ち形而上学に重きを置いた。
    代替となる労働力を得た暇人が、①生活を豊かにするために学問を発展させたこと、②民主政治であったこと、③相対主義的な価値観により、大衆が思考力と政治への関心を失った点から、古代と現代はよく似ている。

    中世は宗教が文明の足を引っ張り、人間を「賢いだけの猿」に逆戻りしかけさせた暗黒時代だ。アクィナスを始めとするスコラ哲学(神学証明のための哲学)により、哲学は神学のハシタメになったのだ。

    その後、近世に入り、哲学は復権を果たすも、結局、神の完全性を否定することは出来なかった。
    大陸合理論(先天的に持つ生得観念「アプリオリ」を認める派)=演繹法(一つの命題から答えを出す)を用いたデカルト、スピノザ。
    イギリス経験論(人間の観念は全て知覚経験により得られたもの派)=帰納法(事例を複数集めて命題を証明する)を用いたベーコン、ヒューム。
    演繹法が既知の事実しか語れないのに対し、帰納法は新たな発見が創出される可能性がある点が優れている。一方、全ては認知によるものであるため、認知は主観に過ぎず、絶対に証明できない(火を触っても次は熱くないかもしれない)とし、帰納法の限界を示したのがヒュームだ。説明に神を利用しなかった初めての哲学者として、ヒュームが登場したことで、近世は終わりを迎える。

    近代に入り、カントは現象界と物自体を説くことで、イギリス経験論を昇華するかたちで、大陸合理論とイギリス経験論を統一した。
    これは、人間は感じ取れる五感の範囲の世界しか認識できず(=現象界)、仮に別次元的な本当の世界(=物自体)が意識の外で広がっていたとしても、それを認識することは永久不可能なのだから、人間は人間の現象界の中で真理を追求すべきである、という理論であり、神殺しの理論だった(神の真理と人間の真理が分離されたことで、人間の現象界における哲学に、神の議論は不要となった)。


    現代に入り、実存主義が台頭する。
    以下は実存主義の代表的な哲学者とその思想である。
    ●ヘーゲル
    人類の歴史とは弁証法による絶対精神の追求にある。
    ●キルケゴール 実存主義の祖
    絶望とは実存の喪失であり、絶望は「死に至る病」である。埋もれた個人を掘り起こす。
    ●ニーチェ
    力への意志、キリスト教の全否定 
    キリスト教的奴隷道徳やルサンチマンに支配された背後世界の否定。
    ●サルトル
    自由という呪いから解放されるため、積極的に歴史に参加するアンガージュマンを説いたが、共産主義に毒されて凋落。
    ●フッサール
    物自体を考える必要はなく、現象界のことだけを深掘りする現象学を始める。
    ●ウィトゲンシュタイン
    哲学的問いは文脈が存在せず問いとして成り立っていない。「語り得ないことについては沈黙しなければならない」。
    ●ソシュール
    言葉により文節化することで、初めて存在が定義される(蝶と蛾の例え)。即ちこの能力(=ランガージュ)こそが人間が動物を超越し、社会を形成できた要因だ。

    そして実存主義をサルトルの完全論破により終わらせたのが、レヴィ=ストロースだった。社会とは、贈与を原動力にして、絶えず動き続ける構造であり、社会は、人間が自分の意思で作り上げたものではなく、贈与を連鎖することで、人間の自覚の有無にかかわらず形成されたものであるとした(近親婚を例に挙げて)。
    こうして、全ての社会を対等な立場に定義することで、社会の優劣はないとし、共産主義思想に傾倒するサルトルを完全論破することで、偏った実存主義を終わらせ、現代に至るまでの多様性を重視する構造主義を説いたのである。

  • 自分の人生の在り方や行動の指針として哲学は有用。
    先人の失敗やアイデアをそのまま貰える。

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