記事のご紹介「電子書籍の進化普及による出版業界構造変化へのインパクト」
2013/11/15
ラノベコンテストネタが続いてしますが……本日はちょっと感動すら覚えたこちらの記事をご紹介したいと思います。
●電子書籍の進化普及による出版業界構造変化へのインパクト
NTTデータ経営研究所 情報未来研究センター パートナー 山下 長幸氏によるレポートです。
著者、出版社、取次、書店という書籍をとりまく関係者が順番に解説され、読みごたえのある内容です。
詳しくは、元記事をご参照いただきたいですが(図表がいっぱい)、ものすご~く省略するとこんな感じです。
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電子書籍市場元年
⇒インプレスビジネスメディアの調査によると、2012年度~2017年度における日本の電子書籍市場規模の年平均成長率は26.8%と高度成長する予測。
全体構造
⇒もともと出版業界でやってきた企業のほか、異業種も電子書籍ストアビジネスに参入し、激戦区となっている。
著者
⇒Kindle ダイレクト・パブリッシング (KDP) では印税が原則35%、条件次第で70%になるという状況下で、出版社を通さず作品を自分で販売するケースも増える。出版社経由でも、著者印税が10-30%の間で大きく変動する。電子書籍では絶版を気にしなくて良い。
出版社
⇒4点。
【1】紙の書籍と違い再販売価格維持制度が適用されず、価格設定の自由度、流通コスト、著者印税など様々な要素が様変わりし、これまでの経験則での収益性の想定がつきにくくなる。
【2】紙の書籍の場合、採算の合う売れる著者が限られていたが、電子書籍ではコストの低下により、著者の選択の幅が広がる。よって出版社に必要とされるスキルが、「著者厳選」から「多くの著者を発掘する」スキルに変化する。
【3】単なる紙の電子化ではなく、電子書籍ならではの企画編集力が問われる。
【4】出版社にノウハウが少ない、ネットユーザーやタブレット端末ユーザーへのプロモーション力を開発していく必要がある。
取次(出版社の書籍を書店に流通させる会社)
⇒自社の強みを活かせる新たなビジネス分野に進出する必要がある。既に多くが電子書籍ストアに参入しているが、ほぼ業態転換。各社で差が出やすい。
書店
⇒大規模書店はネット通販に参入しているが、Amazonなどの新興ネット書店に押されている。電子書籍ストアにも参入。
現状では電子書籍を購入したストアが提供するアプリでしか閲読ができないため、いつも特定のストアで買いがちになり、大規模電子書籍ストアと専門特化型の電子書籍ストアの2極化が進む可能性がある。
電子書籍端末
⇒スマホやタブレットでの読者が非常に多くなる。専用端末はの普及台数は現状多くない。ただし、専用端末は、読書に関しての使い勝手は良いことから、ヘビーユーザー読者には普及する可能性が高い。
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書店×電子書籍ストアといえば、つい先日「Amazon Source」が発表されて話題になりました。日本ではどうなるか分かりませんが……
GIZMODOさんの記事では「街の本屋さん助けます」という見出しになってますが、ネットユーザーの意見はSlashdotさんに載っていたように、助けるとは真逆であるという声が多いように感じます。
●米Amazon、Kindleの販売代理店制度「Amazon Source」を発表/eBook USER(11/8)
●街の本屋さん助けます…書店がKindleを売ると電子書籍の売上の一部を受け取れるプログラム、アマゾンが発表/GIZMODO(11/11)
●Kindleを書店で販売する「Amazon Source」に書店経営者からの冷たい反応/Slashdot(11/10)
「オリーブの枝に見せかけた短剣」「Amazonが書店に送り込むトロイの木馬」「わずかな収入と引き換えに2年後には顧客を完全に失う」・・・
その他めも。
●楽天kobo、大田丸店舗で「書店内koboストア」を展開/eBook USER
●hontoポイントサービスの提携書店が増えました!/honto
●15年で8000店! 書店消失は「アマゾンのせい」なのか?/キャリコネ